今年7月着工分の新築住宅につき、ハウスシック症候群対策を目的として、換気装置設置の義務と使用建材品の化学物質の発散の種類による使用制限を設けられました。
これにより、換気装置の設置がない住宅は建築確認が降りず建築できなくなりました。
内容
従来は、キッチン・トイレ・風呂の局所換気でよかったものが、居室を初め家全体の換気計画とそれに基づいたシステムの設置が必要となります。
その他に、換気に連動して気密施工が必要であり、その内容によって使用する建材品(F☆~☆☆☆☆)の使用制限が設定されています。
実施
現状は、つい最近公的機関により全国各地で講習会が開かれ、今まで気密や換気に関心のなかった工務店やハウスメーカーも無視するわけにはいかなくなり、真剣に今後を模索している状態です。
さて、ここで問題は換気や気密に関して全く取り扱いもしていなくて、にわかに知識を得てもベストな対応が出来るのでしょうか?
法律にのっとって、高額な追加となり施主がそれを負担する形になる可能性が大いにあります。もちろん、従来から高断熱高気密に真剣に取り組んでいて、しっかり換気計画をしシステム換気を設置している工務店は問題ないですが、これからはじめる工務店やハウスメーカーは大変です。
大手メーカーほどこの分野は遅れています。というのも、この分野は健康住宅に必須でありながら、目に見える部分でなく追加料金が取りにくかったからなのです。
対策
さまざまな化学物質を使用した近年の建材を使用の住宅では、皮膚や気管器系の疾患が多く見られ「ハウスシック症候群」という言葉が生まれて久しくなります。
この症候群は前出の疾患のほかに、現代の子供たちが「切れる」という、急に怒り出したりする現象や「そう、うつ」といった深刻な、精神神経系の病気にもつながるといった発表もあります。
このような大問題を国が黙ってみていただけではなく、対策の方法を数年前から検討に検討を重ね、やっと今回の改正になったようです。
でも、実は正式にはこの内容だけでは不足しており、更に真剣に考えなければなりません。
というのは、今回の改正では、換気と建材の設定ですが、換気の目的を達成するには、気密化が必須条件なのです。
気密というと知らない方は「息が詰まる」と勘違いすることもありますが、正確には、「計画通り換気するための余計な隙間をあけない」という工事で、気密化住宅で「息が詰まる」と言われる方は、「気密」という言葉に過敏に反応した勘違いです。
実際は、換気回数0.5回/時という性能を持った換気計画がなされているからです。むしろ、気密にしていなくて換気システムがついていない住宅よりも、ずっと多くの新鮮空気が充満し、「息が詰まる」はずがないのです。気密や換気がされていない住宅(古来の木軸真壁造ではなくて)に住んで、長期間に渡り大量の揮発性化学物質を体内に入れることが、どんなに危険なことか!
学術的に証明されている内容だと、アトピー・呼吸器疾患に代表されますが、アトピーもひどいものになると、全身に湿疹ができ、最悪の状態では死に至ることもあるそうです。呼吸器疾患では、喘息・気管支炎・肺炎の可能性があります。このような持病をお持ちの方は、加速的に悪化します。
この文章をお読みになった機会に良く考えられることをお勧めします。
国がこのような内容の詳細を積極的に公表できないのは、それにより、対応できない工務店やハウスメーカーが無数にあり、また、すでに問題のある住宅に住んでいる方も無数に存在しするため積極的に公表すると、社会的大パニックになってしまうからです。また、前述の気密化の義務化が出来ないのは、「換気」以上に対応できない工務店やハウスメーカーが存在するために、対応不能のための経営不振により、社会不安をあおる事になるからです。
したがって、充分ではないにしろ、今回の改正は施主にとってプラスになることと考えられます。
しかし、対応できる工務店かどうかを判断するのは簡単ではないかもしれません。
方法のひとつは、「気密・断熱・換気」をどこまで理解して、建物に反映しているかを知ることです。
それが難しいのであれば、当社のような専門の業者に相談すると良いと思います。